ライバルが語る松坂/大リーグ新紙面
<カウントダウンDAISUKE-5>
3月26日から始まった日刊スポーツの大リーグ新紙面「Catch! the Majors」は「カウントダウン DAISUKE」として、開幕までの1週間、松坂とレッドソックスに焦点を当てる。第5回はライバルが見た松坂大輔。
レッドソックス松坂大輔投手(26)のライバル投手といえば誰なのか。メジャー1年目とはいえ、新人王どころか実力的にはサイ・ヤング賞争いに名前を連ねても不思議ではない。ヨハン・サンタナ(28=ツインズ)、王建民(26=ヤンキース)、ロイ・ハラデー(29=ブルージェイズ)ら同じア・リーグのライバル投手との争いに、松坂がどこまで割り込めるのか。過去に対戦経験のあるメジャートップの打者、マリナーズ・イチロー外野手(33)の言葉をヒントに、その可能性を探ってみる。
投手のMVPと言われるサイ・ヤング賞。毎年オフ、全米各地の担当記者の投票で選出されるもので、昨季はサンタナが獲得した。選考には明確な規定はない。救援投手が選ばれることもあるが、やはり本格派投手が選ばれることが多く、あえて基準をあげるならば「15勝、200イニング、200奪三振」。いずれにしても、パワー投手が選出される傾向が強い。
松坂が獲得する可能性はあるのだろうか。
答えは「YES」。たとえ松坂が1年目からサイ・ヤング賞を獲得しても、だれも驚くことはないだろう。
今季も最有力候補は、やはりサンタナだ。昨季は19勝6敗、防御率2・77、233回2/3で245奪三振と文句なしの成績で選ばれた。このサンタナに続くのが、昨季19勝を挙げてヤンキースのエースに成長した王建民。もっとも、王の場合、三振数(76)が少なく、やはりインパクトの弱さは否めない。むしろ、昨季、故障から復活したハラデーが対抗馬だろう。
それらの有力候補との争いに松坂がつけ込めるか。そのヒントは、今年で7年目を迎えるイチローの言葉に隠されていた。
今のア・リーグに、とんでもない投手というのはいない。ただ、とんでもなくダメな投手もいない。その間の投手が多く、それなりの球を投げてくるんです。
イチローの言う「とんでもない投手」というのは、02年までのペドロ・マルティネス(現メッツ)のような圧倒的な実力を持つ投手のことだ。サンタナ、王、ハラデーの3人についても「3人とも安定したいい投手。ゲームを作りますから」と、マルティネスの評価には程遠い。つまり、「とんでもない投手がいない」ア・リーグの争いの中で、松坂にも十分にチャンスはある。
では、何が松坂の条件になるのか。年間を通してローテーションを守ることは最低条件として、やはり200イニングの投球回数は必要だろう。
松坂のオープン戦の成績は、17回2/3で19奪三振。これを200イニングに換算すると215奪三振となる。十分に「資格」を満たす成績といえる。
昨年3月のWBCの際、一緒のチームで戦ったとはいえ、打席に立ったわけでもなく、今のイチローは松坂の印象を語ろうとはしない。そのイチローとのメジャー初対決は4月11日。そこでイチローに「とんでもない投手」と感じさせるような投球ができれば…。1年目からのサイ・ヤング賞。決して夢ではない。
【サンタナ】「準備しておけ」
現在のア・リーグのNO・1投手といえば、多くの人がサンタナの名を挙げる。04年、06年のサイ・ヤング投手。特に昨年は勝ち星、防御率、奪三振と投手の3冠王にも輝いた。ベネズエラ代表として参加したWBCの影響もあってか、開幕から初勝利を挙げるまで約1カ月もようしているにもかかわらず、だ。
サンタナは「WBCで戦ったアドレナリンをそのままシーズンに持ち込んだのがつまずきの原因だった」という。今年はその苦い経験を生かして開幕日に照準を合わせた万全の調整を行ってきた。
サンタナの最大の武器は「狙っていても打てない」といわれる伝家の宝刀チェンジアップ。今年は一段とグレードアップされた。本人も「今年はいいなと感じている」と自信を持っている。レッドソックスの主砲、昨年の本塁打、打点の2冠デビット・オルティスは「サンタナのような投手は、打てるかどうかの球は1球あるかないか。それだけ打者にチャンスをくれない。彼はMLBで最高のピッチャーだ」と手放しで賞賛している。
そのサンタナが楽しみにしているのが、レッドソックスとの対戦、松坂と投げ合うことだ。
「日本の野球が世界でもトップクラスだということはWBCで証明した。あの時の松坂の投球はセンセーショナルだった。その彼と対戦する機会があるならば僕はそれを楽しみたい」といった。
5月のミネソタでの3連戦は投げ合う可能性は少ない。地区が違うため、あとは9月の最後にボストンでの4連戦が残る。優勝をかけた最後の勝負にサンタナと松坂がぶつかる-なんて可能性もあるかもしれない。それを想像しただけでも胸の高まる思いがする。
サンタナはメジャーの先輩として「ボストンで必ず成功すると思っているし、幸運を祈りたい」と松坂にエールを贈った。ただし「君のことはよく覚えておくよ。準備をしておけよ」と挑戦状を突きつけることも忘れていなかった。【鉄矢多美子】
【王建民】「アジア対決だ」
メジャ-2年目にして19勝を挙げア・リーグ最多勝に輝くと、サイ・ヤング賞投票でもサンタナに次ぐ2位になった。台湾出身、松坂と同じ26歳の王建民は、ひと足早くアジアNO・1投手の称号とチームのエースの座を手に入れた。
残念ながら右足太もも裏の肉離れで、王は開幕戦からしばらくは欠場の見通しだが、思ったより軽傷で練習も再開している。本人は「早く戻りたい」と表情も明るい。
台湾では松坂のようにスーパースター。試合に登板する日は、台湾の小学校では体育館に全校生徒が集まり試合を観戦する。町中には大手企業の宣伝に起用されたポスターがいたるところに見られ、テレビでは出演しているCMが流れる。
大学在籍中の00年、海を渡りメジャーに挑戦した。故障を繰り返しながらヤンキースでは、珍しく下部組織から成長してきた王の特徴は重く鋭いシンカーで内野ゴロを打たす投球。昨シーズン打たれた本塁打はメジャー最少の12本と抜群の成績だが、奪三振は少なく9回を平均3個。
「本当は100マイルを投げられて、三振を何度も奪いたい。それが出来れば最高だね」。周囲は安定感抜群の投手と評価するが、王は三振へのあこがれを口にした。
速球へのあこがれ、だからこそ同い年でレッドソックスに新加入する松坂は気になる存在だ。「彼の事は高校生のころから知っている。当時から彼は有名人だった。印象としては速い球も投げられる素晴らしい投手だね」と評価した。
松井と井川が練習中に彼ら同士が話し合う姿を見てうらやましく思うときがあるという。「アメリカに来て7年目だけど、やっぱり母国語で話したい時がある。早く台湾出身の選手がヤンキースにも来ないかな」と言った。
松坂と投げあったらどっちが勝つと思う? と聞いてみた。「わからないね。彼はいい投手だし、レッドソックスもとてもいいチームだ。まあ、ものすごく三振をとるピッチャーとほとんど取らないピッチャーとの投げ合いになると思うよ」。伝統の一戦。アジア最高の投手同士の投げ合いを見たい。
[2007年3月30日13時8分 紙面から]
- 松坂がサイ・ヤング賞のトップ候補に [30日11:11]
- 松坂&岡島「共催」地元記者と食事会 [30日09:29](写真あり)
- 松坂キャンプ終了「日本は素晴らしい」 [30日09:34](写真あり)
- 松坂、大リーグ公式サイトで注目話題1位 [30日11:09]



